スズキVストローム250!2023モデルを徹底調査

こんにちは、プラムです。

今回は、2017年のデビューモデルから常に、250ccクラスの人気ランキング上位に位置付けられてきているVストローム250の2023モデルのインプレをさせていただきます。

Vストローム250ってどんなバイク?

大型バイクのアドベンチャー人気の流れを汲み、普通自動二輪免許で乗れるVストロームとして、GSR250をベースにアドベンチャー型のロードバイクとして仕上げられたバイクです。

国内メーカーのライバル車種としては、カワサキのVERSYS-X250が存在しますが、アドベンチャー気質が強めなテイストのVERSYS-X250に比べ、Vストローム250はマイルドに仕立てられ、よりフレンドリーなバイクといったイメージを持ちます。

“アドベンチャー型”と称したように、専用の純正トップケースやサイドケースが設定されており、それらを装着した際の合計容量(トップケース+サイドケース2個)は63Lと、クラストップレベルの積載用量を誇ることとなり、旅を気軽に楽しむバイクとして不動の地位を確立しています。

Vストロームシリーズの特徴

Vストロームは、スズキのアドベンチャーモデルに冠された名称です。

ちなみに“Vストローム”という名称は、「万能、多目的、多用途」を意味する英語である“Versatile”のVと、「流れ」を意味するドイツ語の“Strom”を合わせた造語なのだそう。

そして外観的なデザインとしては、“砂漠の怪鳥”と称されたDR800Sから受け継がれる、ヘッドライト下から延びるクチバシ型のフロントフェンダーを持つ事を特徴としています。

シリーズとしては現行で、6車種(下記)もラインナップされていることからも解るように、スズキの二輪部門を支える大人気シリーズです。

・Vストローム1050DE
・Vストローム1050
・Vストローム800DE
・Vストローム650XT ABS
・Vストローム650 ABS
・Vストローム250

2023モデルの特徴は?

他の250モデルとは一線を画すフォルムを誇るVストローム250は、2017年のデビュー当初から6年もの間、外観的には大きな変更が成されていないという、いわば完成型のデザインを持つバイクです。

個人的には、Ⅴストロームシリーズの中では250の見た目が一番好きです。

一方で2023年モデルは、昨年、令和2年に掲げられた排ガス規制に対応できず、生産終了との噂も囁かれた後に発表されたモデルであり、排ガス基準をクリアしつつ、性能低下を抑制するための多くの改良点を内在させています。

[カラーリング]

まず、外観的な部分としては、車体のカラーリングの変更に伴い、従来はブラックだったラジエータ脇のシュラウド部分が、車体色に合わせたカラーリングパーツへと変更になりました。この変更により、250ccクラスでは元々大柄だった車体が、より大きく見えるような視覚効果が得られるようになったのではないでしょうか。

また、2022年モデルまではパールネブラーブラック×ハイテックシルバーメタリックのカラーリングのみに採用されていたホイールリムのピンストライプが全色に施されるようになりました。

車体のカラーラインナップは、次の4色です

・ハイテックシルバーメタリック/パールネブラーブラック
・ソリッドダズリンクールイエロー/パールネブラーブラック
・ダイヤモンドレッドメタリック/パールネブラーブラック
・マットフラッシュブラックメタリック/パールネブラーブラック

[排気システムの変更]

従来は、腹下のみに備えられていたキャタライザー(触媒)を2つにして、第1キャタライザーをエキパイの上流側、第2キャタライザーを腹下に配置するようにしています。

排ガス規制への対応であり、特許出願された技術(特開2020-041520号公報)で、複数あるエキパイのうちの1本を短くしてエンジンの排気ポートに近付けることで、触媒温度の上昇を早め、触媒の効果を早期に得られるようにしているようです。

この他、スズキに問い合わせたところによると、ECM(ENGINE Control Module:エンジンコントロールユニット)や、スロットルボディーアッセンブリ、ジェネレータ・レギュレートレクチファイア等を変更し、サイドスタンドリレーを廃止し、スターターサブリレーを追加するといった処置が施されているそうです。

また、スズキの公式ホームページの説明によれば、点火プラグや、カムシャフト、シリンダーの加工方法、インテークバルブデザインなどにも変更を加えているそうです。

ここで、点火プラグに関しては、突き出し型のプラグを採用と記載があったのですが、調べてみると従来モデルのプラグの型番がCPR7EA-9で、コチラも突き出し型のプラグでした。

この点についてもスズキに問い合わせてみたところ、2023年モデルではプラグの型番がMR7E-9に変更されたとの事だったのですが、こちらはスズキ純正として採用されているプラグの型番でした。

このプラグについてはNGKの対応表を確認してみたところ、MR7E-9も、CPR7EA-9も、互換性のあるイリジウムプラグが同じ型番(CPR7EAIX-9)であったため、実質的には同じプラグなのではないかと思いました。

ヘッドライトはH4型のハロゲンバルブ、ポジション、及びウィンカーは電球です。
テールランプにはLEDが採用されています。ヘッドライトがハロゲンであるのにテールランプがLEDとされているのは、テールランプの角度や厚みから、LEDの方が輝度を出しやすかったのかもしれません。

実際に乗ってみた!

まず、跨った瞬間に意外とコンパクトな乗車姿勢となる事に驚きました。

その理由の一因としては、“アドベンチャー型”のバイクとしては、ハンドル幅が狭く、少し絞り込まれた上でかなり高くアップされている点にあります。

“アドベンチャー型のバイクはハドル幅が広い”といったイメージを持っていたため、“アレ?うちのモンスターS2Rよりハンドル幅狭いんじゃないかな?”といった印象を受けたのです。

速度、ギア、時計、走行距離、燃料、回転数といった、必要な情報を一度に観る事ができる非常に見易いメーターです。
メーター脇に供えられたアクセサリーソケット。12Vで3(A)の電流を使用することができます。

エンジン

エンジン形式は、SOHC型のパラツインですが、良く回ります。

そして、味付けとして、低回転域でのトルクが太くなるようにセッティングされているようで、2速発進、3速発進でもエンストせずに走り出す事ができました。

このため、キャンプ用品など、多くの荷物を積んだ状態での坂道発進もスムーズにこなす事ができるだろうなと感じました。

一方で、気持ちよく走れる速度域としては80km/h~90km/h程度であり、110km/h以上を出そうとした場合には、かなりの振動が予想されます。

また、車載工具の確認をしていて気づいたのですが、シート下からリアサスペンションのプリロード調整ができるのが凄く便利ですね。

車種によっては工具を入れる隙間が狭くて調整が難しいというものもありますが、Vストローム250は、工具を入れるスペースがしっかり確保されていて、ソフト側、ハード側双方ともに楽に調整ができました。

さらに、写真を撮り忘れてしまったのですが、カウルを留めるボルト用の凹部に、水抜き用の孔が設けられているのも印象的でした。溜まりやすい部分にのみ設けられているようで、車体右側のシュラウドやタンクカバーには設けられているのに、左側のシュラウドには設けられていないようでした。

ハンドリング

ハンドリングはすごくまろやかですね。

250ccとしては車重が重く、重心が高いせいか、スパンッと倒れ込むというよりも、ジワッと寝かしこんで行くイメージですね。

また、ハンドル幅が狭いため、フルロック状態までハンドルを切っていても、手が届かないといった事態になりにくく、Uターンなども比較的やりやすいと思いました。

ブレーキ

フロントは、NISSINの2ポットフローティングキャリパー。ディスクは、ウェーブディスクを採用

ブレーキの効きは、比較的ソフトです。

2ポットのフローティングタイプで車重が比較的重い事もあるのかもしれませんが、未舗装路の走行も加味したアドベンチャーとしては、この位の効き具合が良いのかもしれません。

一方で、ABSが装備されている観点からすると、もう少しガツンと効くようにしても良いかもしれないと感じました。

リアもNISSIN。コチラはシングルポットのフローティングタイプ。ディスクはウェーブタイプです。

シート

クッション性が良く、疲れにくいシートだと思います。

シート前方は絞り込まれているため、足つき性は良くなりますが、前方寄りに着座した場合には、体とシートの接触面積が小さくなり、単位面積あたりにかかる圧力が高くなってしまいます。

このため、お尻が痛くなり易い方は、タンデムシートとの境界部に位置するせり上がり部分にお尻を預けるようなイメージで着座すると、疲れやお尻の痛みを軽減できるようになるでしょう。

このようにタンクと体との間にスペースをあけるようにして着座すると、体を動かしやすくなり、操作性も向上します。

積載性や車載工具は?

積載性

純正のパニアケースを取り付けるアダプターが標準装備されています。
頑丈そうなキャリアが備えられています。純正トップケースを装着する場合には、別途ベースを取り付ける必要があります。

純正のパニアケースやトップケースのオプションが設定されている関係もあり、シート下スペースは比較的大きいものの、積載可能なスペースはあまりありません。

シート下には、フック状のヘルメットホルダーが左右1箇所づつ(合計2箇所)設けられています。

車載工具

車載工具は、最近のバイクとしては豊富にそろえられています。

具体的には、次のようなものです。

・プラグレンチ
・フックレンチ
・プラスマイナスドライバー
・六角レンチ×2
・モンキーレンチ×2(10mm&12mm、14mm&17mm)
・ソケットレンチ(24mm)
・プライヤー
・ドライバー&ソケット・フックレンチの持ち手

足つき性

足つき性は、車格からしたら良い方ではないかと思います。

股下76cm、体重62kgの私で、かかとが上がる位です。

片足なら足裏全てつけることができます。

気になった点

GSR250をベースにしているため仕方が無い事ですが、フロントのサスペンションの可動域が狭いため、段差でのショックがダイレクトに伝わってきます。

ネイキッドとして見たならば気にする部分ではないのですが、アドベンチャーとして見た場合には、もう少し脚が長くても良いかなと感じました。

非常に便利なアクセサリーソケットではあるのですが、欲を言えば、昨今の流れを汲み、USBソケットとしてくれた方がすっきりするのではないかと感じました。

総合的に見て

チョイ乗りも遠出もでき、ワインディングも走る事が出来て疲れにくい非常に優秀なバイクだと思いました。

車両自体の個性も強く、様々な趣味に付き合ってくれる気軽なパートナーといった印象です。

インプレッション動画

インプレッションを動画にまとめました。