東京モーターサイクルショー2023を振り返る【気になった用品&パーツメーカー4選】

東京モーターサイクルショー2023では、新型車両の発表などで、車両メーカーに注目が行きがちではあったのですが、用品メーカーやパーツメーカーも、スゴイ製品や面白い製品が沢山ありました!

用品メーカーさんやパーツメーカーさんは、車両メーカーに比べて出展数、展示数が多く、とても全てをお伝えする事はできないため、独自目線と興味で選んだ4つのメーカーさんについて、自身の経験等を踏まえてご紹介させていただきたいと思います。

それでは、早速ご紹介に入らせていただきます!

タナックス

言わずと知れた二輪用のツーリングバッグやパーツ、アクセサリーなどを製造販売するメーカーさんです。

バッグ系のブランドである“MOTOFIZZ”のバッグは、私も使わせていただいてます。

ライダー思考で作られている製品が多いため、“痒い所に手がとどく”製品が多いんですよね。

私のBMW F900XRに、MOTOFIZZのキャンピングシートバッグ2と、ツーリングシェルケース2を装着した状態です。

今回特に注目した製品は、取り付け、取り外しが簡単なクイックサイドシステムという脱着機構を採用した製品です。

こうした着脱機構は、車両側に専用ステーを取り付ける必要があり、ヘプコ&ベッカーやSW-MOTECH、およびSHADなどの海外メーカーによる販売が主体となっていました。

このため従来の“MOTOFIZZ”製品は、あくまで汎用品として、専用ステーが無くても取り付けられるというスタンスであったため、車種を選ばず、幅広い層に人気の製品としての地位を確立してきていました。

それが今回、専用ステー(クイックサイドステー)に対する脱着機構を採用した“SLIM SHELL BAG”“サイドバッグメッセンジャー”を発表したのです!

バッグの裏面側に浮き出ている部分がスリーブで、ここにステーを通すイメージですね。
ステー後方(写真左側)は浮いた状態になっており、ステーを固定する部分に見える長孔状の部分に固定ベルトを通すイメージですね。

一見すると、バッグの他にステーも買わないとならないから高くなる!と思うかもしれませんが、近年、初心者や女性ライダーなど(偏見では無く、一般論としての表現)、ベルトによるバッグの固定が苦手という人も多く、ベルトの取り回しを行わず簡単に取り付けができるこのシステムは、ニーズに合った非常に魅力的な製品だと感じました。

また、”MOTOFIZZ”の価格帯は、上述した海外メーカーの製品に比べて安価なものが多いため、価格は未定となっておりましたが、おそらく、良心的な価格設定になるのではないかと期待しております!

さらに、ベルト固定による汎用品も引き続き販売されることから、バッグの選択肢が増えるのはうれしい限りです。

構造を見ると、バッグ裏面のスリーブ状の部分にステーを後方から差し込み、ベルト止めすることでズレと脱落を防止するという仕組みのようですね。

現時点で発表されている専用ステーは、レブル系のみですが、今後、対応車種が増える事に期待したいと思います。

アクリポイント

美しいスクリーンの数々が並んでいました。奥の長細いカバーのような物はなんだったのでしょう?

アクリポイントは、バイクのスクリーンを扱うメーカーです。

アクリル板の熱加工を専門とする会社が独自開発するスクリーンであるため、歪みやムラが無く、スクリーン越しであってもクリアな視界が確保されます

DIYでアクリル加工をやった事がある人(マニアック過ぎる^^;)は解ると思うのですが、歪みを生じさせないように熱可塑性樹脂を変形させるのって、凄く難しいんです!

私も昔、某オークションサイトで“安い!”と思って落札したビキニカウルがあったのですが、このカウル自体がアフターパーツメーカーの物であったため、手に入れた時点で何処にもスクリーンが売って無かったのです。

DUCATIパフォーマンス製のカーボンビキニカウルです。

DIY好きな私としては、無い物は作ってみよう!という精神の下、アクリル板を買ってきて、石膏で型を作って熱加工してみたのですが、思うように曲がらない上に型から外すと残留応力により、少し戻ろうとするんですよね。このため、思った形にならず、かつ歪みが出てしまったんです(涙)

試行錯誤して、カウルにも塗装してみました。一見すると綺麗に見えるのですが・・・
横から見ると見事に歪んでいます(涙)

均等加熱とバキューム加工などが出来ればもう少しまともに出来たのかもしれませんが、DIYではそんな事はできず・・・

アクリポイントでは、こうしたアフターパーツや旧車など、スクリーンを入手する事ができない製品であっても、ワンオフでスクリーンを製作してくれるそうです。

ワンオフ価格について、アクリポイント専属モデルのYURIさんが教えてくれました!

価格はケースバイケースなのだそうですが、なんと3万円から製作してくれるのだそう。

自分で作ろうとしても材料費で1万円程度かかってしまうし、3次元的な曲面を作ろうとすると必ず失敗するし、型から製作するとなると、最低5万円くらいかかるかなと思っていたので、かなり安いと感じました。

歪んだスクリーンしか無いあのビキニカウルのスクリーン、作ってもらおうかなぁ・・・

スフィアライト

東京モーターサイクルショーでは、3人のコンパニオンさんの演出が注目を集めていましたが、バイクや自動車用のHIDやLED照明を製造販売するメーカーさんです。

特に、スフィアライトのLED照明は、駆動部を持たない“ファンレス”に拘りを持った“RIZING”シリーズが有名です。

この写真で注目していただきたいのは左下!明るい照明の下でありながら、LEDヘッドライトの明るさが際立っていますよね?

LEDの光には赤外線が殆ど含まれていないため、LED素子は発熱しないと勘違いされている方もいるかもしれませんが、LED素子は光を発する際、同時に発熱しており、LED素子の不具合の多くは、この熱によるものだと言われています。

このため、輝度が高く、耐久性も高いLEDバルブを製造する場合には、放熱をいかに効率良く行うことができるかがキモになってきます。

多くのLEDバルブでは、放熱を促すためのファンを付帯させ、ヒートシンクに風を送る事で、ヒートシンクから強制的に排熱させるという構造が採られています。

ここまで話すと、”なんでスフィアライトではファンを採用しないの?”と思っちゃいますよね?

それは、ファンを採用してしまうと、稼働部が増えて消費電力が増えると共に、故障、電磁派によるノイズの発生リスクも増大し、何よりバルブ自体が大型化してしまうといった問題が生じてしまうからなんです。

なお、ファンが無い場合であっても、狭い基板上に色々な素子を配置しているLEDバルブでは、高周波が発生しやすいため、スフィアライトのLEDバルブでは、その対策も施されています(フェライト等の後付け対策が不要!)。

また、スフィアライトのLEDバルブでは、LEDチップを配置する基板の形状や材質、ヒートシンクの形状、配置等に工夫を凝らすことで、熱伝導性や放熱効率の向上を図り、ファンレスで高輝度、かつ耐久性が高く、しかも小さな(一般的なハロゲンバルブと同等サイズ)LEDバルブを実現させているんです。

私の乗っているDUCATI MonsterS2Rは、ヘッドライトハウジングが小さく、ファン付きのLEDバルブを取り付ける事ができないのですが、スフィアライトのRIZINGであれば、普通に収まるんです!

しかも、新たに発売されたRIZINGⅢでは、あの小さなバルブの中に、ヒートパイプを内蔵して、放熱効率の向上を図っているらしいです!ヒートパイプというのは、冷蔵庫やエアコンなどに採用されている管の中に液体を流し、この液体が熱い場所と冷たい場所を相互移動することで熱交換を図るというシステムなのですが、それをあの小さなバルブに取り込んでしまうという発想がスゴイですよね!

今後の技術進展からも目が離せません!

TIMSUN(ティムソン)

左側に移っているマスコットキャラが、ヤモリのキャラクターであるミスターティムソン

タイヤメーカーさんなのですが、私、正直なところ、勉強不足で知りませんでした。

東京モーターサイクルショーの会場を歩き回っていたところ、なんだか可愛らしいマスコットキャラ(ミスターティムソン)を押し出したタイヤメーカーがあるなぁと思って見に行ったら、色々と詳しい説明をしていただき、興味を持ちました。

ティムソンは、中国のタイヤメーカーで、バイアスタイヤを扱っているそうです。

中国メーカーでありながら、その製造技術は卓越しており、精細な金型、及びモールドコントロールが出来る事がタイヤのパターンやヒゲにも表れていました。

まず、タイヤのトレッド面!普段あまり使わない端(ショルダー)の部分でなく、比較的常用するトレッド面の範囲にまで、メーカー名等を刻み込んでいます。

ブランドロゴがトレッド面に刻み込まれています

国内ブランドや海外ブランドでも、ブランドマークをタイヤのショルダー付近にあしらっている場合もありますが、こうしたブランドマークは大抵凸状に形成されているんですよね。

一方で、こちらのロゴは、凹状に刻み込まれているんです。つまり、金型に凸状のロゴを形成している事になりますから、より精細な加工技術が必要になるのではないかと考えられます。

さらに、タイヤ表面に形成されているスピュー(ヒゲ)が細く、良く伸びるように構成されています。

スピューは、タイヤを型で形成(モールド)する際、型の隙間に残る空気などを抜くために設けられた孔にゴムが流れ込むことにより形成されます。

このため、ゴムの素材が悪い場合には、スピューが太く、かつ伸びずに直ぐに切れてしまうのだそう

実際に私も触らせてもらいましたが、確かにスピューも良く伸びたし、タイヤ自体も非常に柔らかいコンパウンドで形成されていました。

お話によると、コンパウンドは柔らかいけれども、同等のグリップを持つ他社タイヤよりもライフが長いというのだから、コストパフォーマンスが凄く良いなと感じました。

ライフが長いというお話があったため、ラジアルタイヤなどで近年行われている、センターとサイドでコンパウンドを変えるというような事をやっているのかという事もお聞きしたのですが、そういった事はしていないそうです。ライフを長持ちさせる仕組みというのがどのようなものであるのか、気になるところです。

多くのサイズやパターンのタイヤがラインナップされていました!

なお、ティムソンのタイヤは、トレッドパターンやサイズが豊富で、今後も色々とバリエーションが増えて行く予感がします。特に、ビジネス系バイクのタイヤには定評があるため、昨今の価格高騰の折、タイヤ交換が近い方は、候補の1つとしてみてはいかがでしょうか?

まとめ

さて、
バイク女子にニューモデルを跨りまくってもらってみた!(国内メーカー編)
コンパニオン10人の名前と趣味は?!
バイク女子にニューモデルを跨りまくってもらってみた!(外国メーカー他編)

を含めて4回にわたって書かせていただいた東京モーターサイクルショー2023シリーズは今回の「気になった用品&パーツメーカー4選」で終了となります。

今後も色々な情報をアップさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。