今回は、Harley-DavidsonのFLFBS Fat Boy114(2023年モデル)をお借りできたので、インプレッションさせていただきたいと思います。
すごいカッコいいバイクだと思うのですが、Fat Boy114を試乗車として置いているお店は少ないと思いますので、興味がある方にとって少しでも参考になればと思います。

ちなみに私ハーレーに関しては、スポーツスター系の車両しか乗った事がありませんでした。
このため今回の試乗にあたり、ハーレーを乗り継いでいる知り合いのSさん(山梨県在住)と、同じくハーレーを乗り継いでおり、少し前にローライダーSの117が納車された埼玉県深谷市にある“武州めし処 あらし家”のマスターIさんに、ハーレーの魅力や押さえておきたいポイントなどを事前に伺い、ハーレーフリークの方の視点にも沿えるように準備をしておきました。
また、今回は、エンジン音や走行の様子などもお伝えできたらと思い、紹介動画も撮ってみましたので、併せて見ていただければと思います。
それでは早速いってみましょう!
ファットボーイってどんなバイク?

最も有名なところでは、不朽の名作“ターミネーター2”で、T-800を演じるアーノルドシュワルツェネッガーがショットガンを持ちながら乗っていたバイクが、初代ファットボーイです。
映画自体は1991年に公開されていますが、ファットボーイがデビューしたのは1990年で、今から33年も前になります。今年120周年を迎えたハーレーの中でも歴史のあるモデルという事になります。
映画当時の車両とは色々と変わっているので“別物”ではあるのですが、今回のFat Boy114は、その系譜を受け継ぐ車両ということです。
ファットボーイの特徴は?

初代から受け継いで来ている太いフロントフォークや太いタイヤ、そしてロー&ロングなスタイルが印象的で、所有欲を満たしてくれるバイクだと思います。
私が試乗させていただいていた時も2車線道路などでは、隣に停まった車からの視線をかなり感じるほどでした。
Fat Boyとういう名称に関しては直訳すると、“太った男の子”ですが・・・個人的には、“ぽっちゃり男子”と訳した方が、愛着が湧くような気がしています。しかしながら見た目は、“太った”というよりも“マッチョ”といった感じで、とてもカッコ良く、頼りがいを感じる見た目だと思います。
外観的な車両の特徴は3つあります!
まずは、大きなナセル!

ナセルというのは、“カバー”とか、“箱”といった意味で、このモデルでは、ナセルがフロントフォークと一体化したような感じで、フロント側からの視点では、いわゆる“いかり肩”な印象を与えるマッチョポイントの1つです!
ちなみに、このナセルを採用したデザインは、2018年モデルのファットボーイからなのだそうです。
次に、前後の太いタイヤ!

フロントタイヤの幅が160、リアタイヤの幅が240という激太タイヤで、前から見ても後ろから見ても迫力があります。
フロントタイヤは、400ccクラスのバイクではリアタイヤに採用されているサイズですし、リアタイヤは、2000ccクラスの車などに採用されているタイヤ幅です。

DUCATIのディアベルもリアタイヤは240サイズでしたが、フロントサイズは120でした。よって、このタイヤサイズ自体も、マッチョポイントの1つですね!
ちなみに、この太いタイヤを装着しているホイールは、「マシンド レークスターキャストアルミ」というそうです。

2022年モデルから採用されるようになったそうで、以前のモデルのホイールは、「ディッシュホイール」といって、円盤型のホイールだったそうです。
肉抜きがスタイリッシュさの演出だけでなく、ホイールの軽量化に寄与しているならば、腰下荷重の低減により、運動性能が格段に向上した事になるのではないでしょうか。
最後は、メッキパーツの多さ!

パッと見てわかるメッキ、金属色の多さです。エンジンもメッキ処理されており、マフラーもオールメッキです!このマフラーのオールメッキ化は、2022年モデルからだそうです。

なお、際立った特徴では無いのですが、一般的なアメリカンタイプのバイクよりも、ハンドルが太くなっています。具体的には、一般的なアメリカンタイプのハンドルは、1インチ(約2.54cm)であるのに対し、このファットボーイのハンドルは、1.25インチ(約3.18cm)となっています。
このため、一般的なハンドル用のクランプでは、スマートフォンホルダーなどのアクセサリーを取り付けることができない場合があります。
2023モデルの特徴は?
2022モデルからの変更点としては、外観的な部分が2点、機能的な部分が1点あります。
まずは外観的な部分!

タンクのメダリオンのデザインが異なります(※動画にも入れてしまいましたが、2021年からの変更点でした)。
ファットボーイのメダリオンは、US空軍をイメージしてデザインされているため、翼をモチーフにしたようなデザインが取り入れられています。2021モデルでは、シンメトリな両翼型のデザインだったのに対し、2023モデルのメダリオンでは、翼部を際立たせる片翼のデザインとなっています。また、中央の星の周囲に黄色の刺し色があるのもポイントですね。
このメダリオンのデザインは、モデルによって色々と異なるらしいので、拘りが強い人だと、あのモデルのコレが良い!という人もいるのではないでしょうか?

次に、リアウィンカーのLED配置デザインです。

従来は、外側にウィンカーが配置され、内側を三日月型のテール・ストップランプとしていたのですが、今回のリアウィンカーは、外周をテール・ストップランプとし、中央をウィンカーとするデザインに変更となりました。

ちなみにフロントウィンカーは、電球が採用されています。
次に機能的な部分!

クルーズコントロール機能が標準装備されました。
以前も、後付けオプションとしてはあったようなのですが、これが標準で装備される事になりました。
クルーズコントロールのスイッチは、ハンドル左側のスイッチボックスの下側に設けられた小さなレバースイッチです。
このスイッチを押し込むと、メーター内にオレンジのスタンバイ表示が示され、所定の条件を満たした上でスイッチを“セット”側へ(下側)倒し込む事で、クルーズコントロールが開始されます。
この時、メーター内にオレンジ色で示されていた表示が緑色に変わります。
ちなみに、クルーズコントロールを使用することができる条件とは、ギアを2速以上とし、かつ40km/h以上の速度が出ている時とされています。
試しに、1速で40km/h超まで引っ張ってクルーズコントロールスイッチを入れてみたところ、クルーズコントロールのスタンバイ自体が解除されてしまいました。確かに1速ではクルーズコントロールは使えないようです。
足つき性
シート幅は広いものの、足を下す部分が絞り込まれていることと、シート高が675mmという数値なため、足つき性は良いですね。


股下76cmの私でも、かかとがつく位な感じです。
また、シートの斜め下に位置しているダイヤルでプリロードを無段階調整する事ができるため、積荷が多い場合や、タンデムなどを行う際に便利です。
実際に色々なところを走ってみた感想は?

一言で言うと、乗りやすいです。
大型二輪免許を取得して最初に乗るバイクが、このファットボーイ114だったとしても、普通に乗れるバイクだと思いました。
事前情報だと、IさんのローライダーSは、低速でのギクシャク感がかなり強いと聞いていたのですが、今回お借りしたファットボーイは、非常にスムーズに感じました。
このため、実際にIさんにも少し乗り比べていただいたところ、確かに乗りやすいとおっしゃられていました。

もしかすると、クルーズコントロールを標準装備にした関係で、回転変動に対するモタツキやガタツキが発生し難いように燃料マッピングを調整しているのかもしれませんね。
そして操作性・・・パッと見は、フロント周りが重そうなので、ハンドルが取られやすかったり、荷重移動や倒し込みがし辛かったりしそうなのですが、実際に走行してみたところ凄く素直で、低速走行でも安定した操作が可能でした。
フロントフォークのキャスター角(レイク)や、重要配分が絶妙なのでしょうね。

また、足を前方に投げ出すフォワードコントロールというシフト形式を採用しているものの、一般的な速度でのワインディング走行には全く問題がありませんでした。
Sさんには、このフォワードコントロールと、私が普段乗っているようなスポーツネイキッド系との乗り味、操作性の違いを味わってみると良いのではないかと言われていました。
実際に走ってみたところ、ニーグリップができず、フットペダル(ボード)にも力を入れ辛い乗車姿勢ではあったのですが、腰による荷重の入力で巨大な車体が素直に曲がります。

また、極端な加減速をしないで一定速度で流したいという場合には、幅広いハンドルを利用して、コーナー手前で少し逆ハンを入力してあげることで、体重移動をしなくても車体がスムーズに倒れ込んでくれました。
ゆったり流したいという人には、こうした乗り方が良いのかもしれませんね。
リアブレーキは、フットペダルの角度と位置の関係であまり使いこなす事ができなかったのですが、フロントブレーキは、重量級の車体を制動させるのに必要十分な効きを発揮していました。
ただし、スポーツ走行のように、コーナー手前でフロントフォークを沈みこませて曲がっていくというようなブレーキングはできません。
あくまで、余裕を持った走りをするなかでのブレーキの効きとして、必要十分という意味合いです。

総合的に見て

所有欲を満たしてくれ、かつ乗りやすい車両です。
バイク好きで、ゆったり、でも気持ちよく走りたいという人にぴったりなバイクだと感じました。
車両重量は317kgと重いのですが、旧モデルより15kg程度軽くなっていますし、低重心で引き起こしも楽、かつ跨った状態での前後移動も軽いので、女性にも乘ってもらいたいと思えるバイクですね。
Fat Boy 114紹介動画
実迫力のエンジン音をご堪能ください。