令和に新車で買える貴重なモタード、KLX230SMに乗ってきたのでガチインプレするぞ!
ちなみに筆者(けん)は2台モタードを所持しており、その片方はハスクバーナのレーサーモタードというガチっぷりです。

そんなモタードのマニアが悪いところも含んだガチなやつをお届けします。
モタードってなんなん?
(知ってる人は読み飛ばしてね)
モタードとは…オフロードバイクをオンロード走行に特化させたバイクです。
スーパースポーツ等と同様に17インチホイールを履き、主に舗装路を走ることを得意とします。
もちろんサーキット走行も可能!実際に筆者もショートサーキットをモタードで走ってます!
KLX230SMの装備をチェック
これが今回インプレするKLX230SMだ!



モタードマニアとして一言言わせて欲しい。
ありがとうカワサキ…
新車でモタードが出ただけで本当に嬉しい。
モタードマニアの私から見ても、KLX230SMはちゃんとモタードです。
何をもって「ちゃんとモタード」と感じたか、根拠も含め装備をチェックしていきましょう。
車体(フレーム/車重)
オフロードレーサーのような軽量アルミフレームではありませんが、スタンダードな高張力鋼セミダブルクレードル式フレームです

ホイールはゴールド!前後17インチでしっかりモタードです。

ただし、後ろタイヤは120/70と少し細め。
見た目のボリューム感は足りませんが、その分軽量なのでヨシとしましょう。

車重は脅威の136kg!
ライバル車のホンダCRF250L(141kg)より5kgも軽いです。
成人男性が頑張れば持ち上げることも可能!

エンジン(パワー/トルク)
エンジンは空冷4ストローク単気筒232cc(2バルブ)です。
19馬力/7600回転、19Nm/6900回転と低回転寄り、お世辞にもハイパワーではありません。
少しバイクに詳しい人は「あれ?非力じゃない?」と思ったかもしれません。この辺の感想は後ほど…


大きな触媒などは外から見えず、マフラーの見た目はスッキリ。
昨今の排ガス規制が厳しい中、このデザインは素晴らしいです。

サスペンション
フロントフォークは専用の倒立フォークを装備!
ここがちゃんとモタードな点1つ目です。カワサキは本当によく分かっている。

モタードはフロントフォークが非常に重要です。理由は2点。
- ベース車両のKLX230Sは21インチと超大口径の前輪のため
→オフとモタードで共通サスは適切なバランスを保つのが難しいです - KLX230Sのフォークはオフロード用セッティングで柔らかすぎるため
→舗装路がメインのモタードでは硬さが足りず、カーブで路面を押し切れません
この辺りをクリアするためモタードは前サスペンションの強化が必須なのですが、KLX230SMはキッチリ専用品で硬めのフォークを装備しています。
しかもコストを抑えた中での倒立フォーク装備…。これは本当に素晴らしいです。
ブレーキ
フロントブレーキは専用の大口径300mmディスクを装備!
ここがちゃんとモタードらしい点2つ目です。カワサキ…お前すげえよ…。

これは個人的な意見ですが、モタードのフロントブレーキはデカいほどカッコいい。
ブレーキディスクが大きいと見た目的にグッとモタード感が出ます。
機能面でも、舗装路を攻める場合は強力なブレーキングが必要なため、オフロードに比べ大口径ディスクが望ましいです。
その他装備
まだまだ説明し足りないけど長くなるので画像中心でお伝えします!







実際に乗って感じた良い点

ここからはスペックで分からない部分の感想となります!
まずは良いと感じたところから!
足つきは非常に良い!
足つきは非常に良好!
オフロードバイクベースだと足つきは悪くなりがちですが、素晴らしいです。

いろいろな条件が絡んで低身長な方でも安心して乗れるバイクになっています。
- シート高が低い(845mm)
- シートが細い
- リアサスがよく沈む
- 車重が軽く片足で楽に支えられる
特に車重が軽い点は素晴らしく、ここまで倒しても片足で戻せます。

パワーは必要十分にあり、そこまで遅くはない
パワーが19馬力/7600回転、19Nm/6900回転しかないため不安でしたが、街乗りで不便するほど非力ではありません。
低回転寄りな特性もありよく進みます。

サスは思った以上によく動く
前後のサスペンションはよく動きます。
特に倒立のフロントフォークが過剰に硬いことを懸念しましたが、街乗りを考慮してよく沈む柔らかいセッティングになっています。


ブレーキもよく止まる!300mmディスクは伊達じゃない。
フロントのブレーキが非常によく効きます。
スペックだけ見ると良いブレーキ装備とは言えませんが、車重が軽いので必要十分に止まります。

取り回しは街乗り最強種と言ってい良い!
とにかく軽量で取り回しが良いです。
最小回転半径は2.1m、1車線程度の幅があれば楽にUターンできます。
実際にUターンしてみたところ、約2.2m幅でターンできました。

実際に乗って感じた悪い点
良い点もたくさんありましたが、KLX230SMも完璧ではありません。
マニア目線の悪い点を正直に書きます。
(カワサキさん先に謝っておきます。すみません…。)
これはスーパーモタードではなくストリートモタード
KLX230″SM”の意味は公称「スーパーモタード」です。
が、ハッキリ言ってサーキットで行うレースを戦えるスペックは全く備えていません。
(スーパーモト/スーパーモタードは広義には17インチ化されたオフロードバイクを指しますが、レース名に使われるためかなりスポーツなイメージが強い言葉です…)
つまり、これは街乗りを楽しむための「ストリートモタード」の方が適した表現だと感じました。
サーキットで戦えない理由をいくつか並べると…
- 圧倒的パワー不足
パワーバンドまで回しても暴力的な加速はない - 倒立なのに柔らかいサスペンション
街乗りに最適化されており攻められるほど硬くない - オフにできないABS
リアブレーキのABSはオフにできません - 選べないタイヤ
リア120/80というサイズのハイグリップタイヤはほぼありません
無理やりフロント用の120/70をリアに履けばイケる…?

ただ、逆に言うと街には最適化されています。
ほとんどのユーザはサーキットを走らないと思うし、むしろWR250Xのようなモタードの方が過剰なスペックです。
街レベルの走行なら「軽くて速くてよく止まって曲がる」というパーフェクトなバイクです。
使わないけど数字上のスペックが欲しい!サーキットで膝を擦りたい!という人には向かないバイクというだけです。
リアブレーキの効きが異常に悪い、ABSが怪しい挙動をする
試しに駐車場でリアブレーキをロックするまで踏み込んでみたのですが、ステップから足を離して踏みつけてようやくロックします。
これは一般的なオフロードバイクと比較してかなり効きが悪いです。
また、ABSもロックと回転を交互に繰り返す挙動で、断続的にロックしていました。

幸いフロントブレーキが非常によく効くので、街で止まれなくて危険!ということはないです。
が、リアブレーキ主体で乗る癖がある人は注意が必要です。
気になる人はパッドを交換する等、カスタムして解決しましょう。
動画もあります!
動くKLXが見たい方はぜひ!
総評!価格を考えると非常に素晴らしいバイク!
このバイク、最大のメリットは57万円という安さです(メーカー希望小売価格)。
モタードの中古車市場は高騰していますが、これなら手が出ます。
57万円という価格で、専用倒立フォーク、LED薄型ヘッドライト、大口径ディスクを用意して売り出したカワサキは本当に本当に本当に素晴らしいです(案件ではありません)。

ハッキリ言って「金はあるからサーキットで戦えるモタードが欲しい」という人は、150万円出してKTMの690SMC-Rを買えば良いと思います。
私個人の意見としては、ストリートを楽しむ安い価格のモタードとしては100点に近いです。
ぜひ一度カワサキプラザに行って試乗してみてください。驚くほど乗りやすいモタードですよ!